3人が本棚に入れています
本棚に追加
/58ページ
少年が外に出ると、同年代に見える少女が膝から血を流していた。
犬は紐に繋がれていたのだが、少女は吠え声に驚いたらしい。
「血が出てるじゃないか!うちに寄って。消毒をしよう。」
「いえ、大した傷じゃないわ」
少女は顔を上げた。
肩の辺りで切り揃えた、少し暗めの、栗色の髪が揺れる。
肌は透けそうな程に白いが、驚いた為に青味がかっている様だ。
大きな瞳と長いまつげが印象的だった。
少年は絶句した。
この辺りでこんなに綺麗な娘は見た事が無い。
「……で…でも、バイ菌が入ったらいけないから。」
やっとの事で声を発し、腕を引いて家に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!