自覚

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「…痛っ」    小町は顔を歪ませ、涙を目に溜める。   「もう終わるよ」    薫の母は言い、小町の右膝に包帯を巻き始めた。      薫は母の後ろに座り、小町を見つめていた。 不意に目が合い、顔を反らす。   「ありがとう」    小町が笑っていた。 落ち着いたのか、頬には赤みが差し、可憐さが加わった。  薫は恥ずかしくなり、俯く。   「さ、終わりよ」    我に返り顔を上げると、にやついた母の顔が見えた。     「行こう!家迄送る!」   気恥ずかしさもあり、まだ痛むであろう小町の膝を気にする余裕も無いまま、薫は小町を外に向かわせた。
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