3人が本棚に入れています
本棚に追加
/58ページ
「…痛っ」
小町は顔を歪ませ、涙を目に溜める。
「もう終わるよ」
薫の母は言い、小町の右膝に包帯を巻き始めた。
薫は母の後ろに座り、小町を見つめていた。
不意に目が合い、顔を反らす。
「ありがとう」
小町が笑っていた。
落ち着いたのか、頬には赤みが差し、可憐さが加わった。
薫は恥ずかしくなり、俯く。
「さ、終わりよ」
我に返り顔を上げると、にやついた母の顔が見えた。
「行こう!家迄送る!」
気恥ずかしさもあり、まだ痛むであろう小町の膝を気にする余裕も無いまま、薫は小町を外に向かわせた。
最初のコメントを投稿しよう!