昼下がり

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「さな、いいもん聞いてるね」 目を瞑り、柱に身を任せていた私の前にいつのまにか百合枝が立っていた。 「あれ、掃除おわったん?」 風がびゅうびゅう、吹き抜けるベランダで百合枝の真っすぐに長い黒髪が風に溶けるように舞う。ワイシャツは肌に密着し、百合枝の華奢な体のラインを露にしていた。 「なに、寝ぼけた事いってんの。同じ班でしょ」 あ、そっか。 私の間の抜けた表情を見た百合枝は呆れ顔だ。さっきもどこかで誰かの呆れた顔、見た気がする。 「その曲も、文化祭でやりたいって思ってたんだよね」 未だにギャンギャンと鳴り続けるスピーカーを指先でとんとん、と叩きながら百合枝は言った。 そうだ、文化祭なんてもんもあったな。百合枝とは文化祭に出る為だけのお気楽バンドを組んでいたが、自分の担当であるベースを引いたの、いつだっけか?部屋の隅でほこりでもかぶってそうだ。
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