雨上がり

2/7
前へ
/113ページ
次へ
世界はきらきら、輝いていた。 学校から10キロも離れた家に帰るためのバスを待っている私は、雨上がりの空を見上げる。 ど田舎のこじんまりとしたスーパーの入り口に設置されたベンチ。深々と座って足を投げ出していたせいで、屋根からわずかに外れた私の足先は、スニーカーの色味が増していた。 意識するでもなく漏れ出るため息は、雨上がりの景色の綺麗さのせいか、足先の不快感のせいか、自分でもわからなかった。 生暖かい風が、潮に焼けた髪を揺らす。 「もう、夏がくるのか」
/113ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加