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世界はきらきら、輝いていた。
学校から10キロも離れた家に帰るためのバスを待っている私は、雨上がりの空を見上げる。
ど田舎のこじんまりとしたスーパーの入り口に設置されたベンチ。深々と座って足を投げ出していたせいで、屋根からわずかに外れた私の足先は、スニーカーの色味が増していた。
意識するでもなく漏れ出るため息は、雨上がりの景色の綺麗さのせいか、足先の不快感のせいか、自分でもわからなかった。
生暖かい風が、潮に焼けた髪を揺らす。
「もう、夏がくるのか」
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