昼下がり

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ギターボーカルをつとめる百合枝は私と違い、学校でもギターを弾いているようで随分とうまい。 「そうだねー、いいかもね」 百合枝の提案には、そこそこに好きな曲だったので、同意の返事をする。 「じゃあ、夏は特訓しなきゃね」 うん、でも、ぶっちゃけ私は特訓まではいいかなー、なんてふやけた頭が言う。ああ、最近面倒くさがってばっかり。 奥二重の切れ長な目、高めの鼻。薄い唇。クールな顔立ちでギターも歌もうまい百合枝は後輩達にとってアイドル的存在だ。 その百合枝がバンドでギターボーカルをやるとなれば、やはり人気は上がる。その校内のちょっとした人気バンドでベースをやっている限り、最低限、練習はしなくては、な。 「そうしよー」 そう思っても、私の口からは中身の無い返事が出た。 はあ。 教室にちらりと目を向けると、だんだん掃除を終えた生徒が教室に戻ってきているようだった。
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