夏はじめ

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全部の空欄を一応埋めて、一通り見直した所でチャイムが鳴った。テスト期間からの解放と、実質夏休みの始まりを告げる鐘だ。 「はあ~」 隣の席で、勉強が出来ない事で有名な憲次が大きなため息をついた。真っ黒な短髪をがしがしとかいている憲次の表情を見れば、今回のテストの手応えもいつもと同じだろう。 そんな彼とは部活が一緒でそこそこに仲はいいほうだ。 「さて、憲次に夏休みはくるんかね」 私は憲次の方に体を向けるとからかう様に言う。 「いーやだー補習はもう勘弁」 憲次は心底嫌だという声で机にうなだれながら言った。 「いいよな、さなは勉強しないくせに出来て」 心外だな、意外とテスト前だけは勉強してるのに。内心そう思ったが、 「まあねー」 あえて自信たっぷりにそう言ってやる。憲次はふて腐れたような表情を作ると、また大きくため息をついて机に伸びた。
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