夏はじめ

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パサ、 スリーポイントラインから綺麗な軌道を描いて飛んだボールは見事にリングを通り抜けた。 体育館には私と憲次が一番乗りだった。私たちは3限で期末テスト終了だったが、4限までテストのある下級生や選択科目のある同級生がまだ来ていないのだ。 バスケットシューズ、バッシュを履いている私の隣で裸足のまま憲次はシュートを打つ。 適度についた筋肉と、体のしなやかさから作られる彼のシュートフォームは部内一、綺麗だ。そのシュートフォームに恥じないシュート率の高さ。誰が見ても惚れ惚れするような美しいシュートが憲次の武器だった。 先ほど放ったボールは逆回転がかかっている為に、自然と手元に戻ってくる。そして、また、打つ。 その繰り返しに、私は靴を履くのも忘れ、しばらく見入っていた。
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