夏はじめ

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「相変わらず、綺麗なシュートだな」 私は無意識にそうつぶやいていた。 「えーっ何!?」 ボールのバウンド音で聞こえなかったのだろう。憲次は戻ってきたボールを手に、またシュートを打ちながら大声で聞き返す。私は大きく息を吸うと 「綺麗なシュートだ!こりゃー咲子も惚れるわけだな!って言ったんだよ!」 言ってもいない事を付け足して憲次より大きな声で返す。 「はあ?!何言ってんだし!!」 シュートの動作を止めないまま叫ぶ憲次、その表情を見なくても眉間に皺がよっているのは明白だ。 「付き合えばいいじゃんよー」 自分でいうのは何だが、品のないげらげらという笑い声をあげる私。咲子、というのはA組進学クラスでバスケ部のマネージャーをしている女子だ。2年にあがる時、マネージャーとして入部し、その入部の理由というのが憲次と近づきたい、というなんとも乙女でなんとも不純な理由だった。 それから2、3回は告白されているであろう憲次だが、当の本人はまったく興味が無いらしく猛アタックしてくる彼女をうっとうしがっているくらいだ。 別に顔は、悪くないとおもうんだけどなー・・・あ、性格か。
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