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「もう、夏だね」
もう一度、今度は独り言としてでなく言う。
独特の暖かく涼しい風。全ての色が鮮明に映る季節。夏は、嫌い、ではない。どこか胸が踊る。なぜだろう?
やっぱり、暑さで脳が腐敗してくるからだろうか?
みんな、馬鹿に、なっちゃってさ。
「そうだなあ、早いな」
私の思考を遮る事のない、父さんはそんなひとりごちな調子で、言う。
腐りかけた、甘い、脳みそはどこか煩わしい。わずかにそんな事を思うようになったのは、いつからだったっけ。
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