昼下がり

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「夏のきらいなとこ」 暑い。 夜が短い。 部活がきつい。 あせだくになる。 焼ける、そういえば、 もう期末テスト? 暑い。暑いあつい。 「夏は暑いのだ」 先生は誇らしげに言った。ああ、そうですとも。夏は暑いから夏なんです。暑いのは夏だからです。 「さな、学校決めたの?」 昼下がり、クーラーの効いた教室でそれでも伸びきっている私に、絵美は訪ねた。 「あーうーん、ね」 曖昧に答える私を覗き込む、絵美のくっきりとした二重の眼、小首をかしげると二つのおさげ髪が揺れる。 「絵美は?」 私は完結な答えを出さないまま絵美に質問を返す。 「もうとっくに、決まってるよ、決まってないのさなだけなんじゃない?って先生、いってたよ」 絵美は呆れたような顔でそう言った。
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