夏の暑い日の殺戮

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死ぬという概念がやつにはない 正確には自分の死を見えないのだ 見えない これ程までに適した言葉はない やつには見えないのだ 奴の漆黒の左目からは自分の死がみえないのだ 鬼 鬼の子 目が削げる奇病 正確には抜け落ちる奇病 いや削げるが言葉として正しいのか 鬼曰くなにもないはずの空洞から人がどのように生き死ぬのか見えるらしい 人々からは忌み嫌われ 人々からは崇められ 結局は鬼の子 鬼に定着した やせほった体からは想像出来ない力を駆使して その屈託のない顔から人の弱みを見て 彼は裏の世界で名を轟かせ表舞台でも名をあげる一流の鬼となった だが彼は赤鬼ではなかった 彼は生粋の青鬼 純粋までに美しく 不純物を一切含まない 本当の意味での青鬼 僕はそれに引かれたのか… 彼には不思議なものがあった
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