57人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ
『えーーーっ!?結婚!?』
『ち…ちょっと、声が大きいよ、沙耶』
あたしは、沙耶の口を押さえて、周りを見回す。
『智貴、プロポーズしたんだぁ』
『う、うん。この間ね』
『智貴、高校の時から美緒にゾッコンだったもんね。いつかは…って思ってたけど、また、急な』
『やっぱり…?』
『けど、いいんじゃない?つきあいも長いんだし。あーぁ、美緒も人妻になるんだぁ…』
『人妻って…。何かやらしいよ』
あたし達は、顔を見合わせて笑った。
沙耶は、びっくりしつつも祝福してくれた。
今週は、お互いの両親に報告しに行く。
久しぶりに地元に帰る事になるかな。
お互いのうちには、行き来もあったし、付き合ってる事も知ってる手前、挨拶しやすいんだけど、やっぱり改めてとなると緊張するわけで…。
智君の車の中では、2人で挨拶の言葉を考えてた。
『何か、緊張するね…』
『オレ、ちゃんと言えるかな』
『美緒さんと結婚させて下さいって?』
『他に何かあるか?』
『美緒さんは、僕の全てです!!』
『…………………』
『…………ウソです(泣)』
今の智君には、冗談が通じないくらい緊張してるみたいだった。
最初に行ったのは、智君の家。
智君の両親は、快く受け入れてくれた。
『二人が決めたのなら応援するよ。頑張りなさい』
『何か思い出しちゃうわね。あたし達が結婚した時の事。ね、あなた』
智君の両親は、優しい感じの人で、ちょっと安心。
その後、あたしのうちへ。
普段から無口なお父さんが、更に無口になってる。
でも、智君の挨拶の後、お父さんは深々と頭を下げた。
『我儘な娘だが、よろしく頼む』
めったに、頭なんて下げないから、びっくりしたけど。
でも、嬉しかった。
『美緒、おめでとう』
お母さんも、涙ぐんで祝福してくれた。
最初のコメントを投稿しよう!