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『ねぇ、美緒、今日また高野さんに迷惑かけてたでしょ?』
あたしの部屋で、リラックスモードの沙耶がお菓子をつまみながら言う。
沙耶とは、高校からの親友で会社も一緒。
彼氏の智君事、朝倉智貴と沙耶とあたしは、クラスも三年間同じだったせいか、仲がとても良かったし、今でもたまに一緒に遊んだりするんだ。
『沙耶…み、見てたの?』
あたしは、入れたてのコーヒーを沙耶に渡す。
『智貴とうまく言ってないの?』
『そんな事…ないけど、声が聞きたいなって…』
『電話は?』
『2週間も…かかって来ない。仕事忙しいんだと思うけど…』
あたしは、コーヒーを一口飲んで答えた。
『美緒…それは、う・わ・き・よ!』
半分おちゃらけて言う沙耶に、あたしは、むきになって怒鳴った。
『智君に限って、そんな事ないもん!!』
『何言ってんのよ。遠距離で大事なのって、連絡でしょ?それがないって事は、やっぱりうわ…』
『沙耶のバカ!仕事で忙しいんだもん!』
『そ、そんなに怒らないでよ…(笑)』
『沙耶…嫌い…』
膨れっ面のあたしを笑いながら、沙耶は電話に目を向けた。
『美緒、留守電でしょ?』
『うん。でも、あたし機械オンチで使い方わからなくて、普通のにしてる…』
『使い方なんて、こうして…』
沙耶は電話に近寄ると、受話器を上げ録音ボタンを押す。
『はい、倉本です。只今留守にしていますので、発信音の後にメッセージをどうぞ。尚、智君以外の方は、おかけ直し下さい』
ピーッ……。
『ち、ちょっと、沙耶!変な事しないでよ!』
『いーじゃん、どーせ使わないんだから!軽い冗談って事で(笑)』
沙耶が笑いながら、受話器を元に戻した。
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