12人が本棚に入れています
本棚に追加
「……は…………」
少年は何か言おうとしている。
「俺は……何者……んだ」
「は?何だって?」
ディックはそう聞き返した。
その時だった
「教えてくれ……俺は一体……」
「お前何言って──」
「何者なんだァァァァッ!」
少年はリミッターが外れたかの様に暴れだした。
そして、信じられない力とスピードで大鎌を薙いだ。
「ガァッ……」
薙がれた大鎌は刃こそ当たらなかったが、柄の部分がディックのわき腹に命中した。
「俺は……俺は……うわァァァァッ!」
少年は錯乱している様子だ。
「いいから落ちつけって……」
グラウスがそう呟いた。
「!グラウス先輩……」
ぐったりとしたディックがグラウスに話し掛ける。
「いいから離れてろ……
よく頑張った」
グラウスは身を挺してリリィを庇ったディックにねぎらいの言葉をかけた。
「はい……」
少年はディックに斬り掛かろうとしたが、ルーシャの矢がそれを阻止した。
そして、ディックはルーシャの援護を受け後退した。
最初のコメントを投稿しよう!