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「グラウス先輩!矢がもう少ししかないです!」
ルーシャはグラウスにそう叫んだ。
「わかった!使いどころを見極めてくれ!」
グラウスはルーシャに叫び返した。
「リリィ!少し援護してくれ!」
「わかったわ!」
リリィはそう肯定し、少年に斬り掛かった。
「これでも喰らって頭冷やしてろ……!」
グラウスはそう言い、両手を合わせた。
「すまない。力を錬り上げるのに相当時間かかってな……
だがその分、威力は折り紙付きだ!」
そう言うとグラウスは、精神を集中させるかのように目を閉じた。
「……まさか……錬成術か?」
ディックは虚ろな目でグラウスを見つめた。
「我が身を取り巻く水の力よ!我に味方し歯向かう敵を飲み込め!」
グラウスの周りの空気が震える。
「リリィ!離れろ!」
グラウスは両手を掲げ言い放った。
「わかった!」
すぐさまリリィは後退する
「喰らえェェェッ!
ウォータープレッシャァァァァァッ!」
グラウスの怒声が響いた瞬間、少年の周りに大量の水が現れ、その水は少年目掛けて一点的に集中し、1つの塊となり消えた。
そして周りには霧が立ち込めた。
「ハァ……ハァ……。やったか?」
グラウスは息が上がった状態で尋ねた。
あの破壊力だ。例え立っていたとしても無事ではいないだろう。
ディック達はそうたかをくくっていた
そして先程の錬成術で生じた霧がようやく晴れてきた。
その中心には1つの影があった。
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