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「……あれ?終わったのか?」
ディックは気の抜けた声で言った。
「終わったみたい……だね」
リリィは顔を引きつらせていた。
「ま、まぁ皆大したケガがなく事が済んだんですからいいじゃないですか」
ルーシャも、そうは言ったものの動揺してるようだ
「ま、そうだな」
グラウスにはさっきまでの緊張感がなく、学校にいるときのように楽天的な考えに戻っていた。
「結局、こいつが死を呼ぶ烏なのか?」
ディックは質問をぶつけた。
「多分そうだろうな。
噂されてることとピッタリだしな」
グラウスは考え込みながらそう答えた。
「あの、死神やら烏やら比喩されてる噂か?」
ディックは再び質問する。
「あぁそうだ。
恐らくだが、死神と言われてるのは、あの大きな鎌からだろう」
グラウスはそう肯定した。
「では、烏と例えられてるのはあの双剣からですか?」
「俺の考えが合ってればな。
きっと着ている服と、握っている双剣の色からついたんだろうな。
あと、逆手持ちにした双剣を腕を広げて突っ込んでくる姿とかな」
ルーシャの質問にグラウスはそう答えた。
「確かに烏っぽかったよね。
聞いてくる事とかも、噂通りだったし」
リリィは納得したようにうなずいた。
「んで、こいつどうするんだ?」
ディックは倒れている少年、死を呼ぶ烏を指差して言った。
「んー……学院に連れていく」
グラウスはそう答えた。
「「「「「えェェェッ!?」」」」」
ディックの叫びがこだました。
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