記憶

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「すいませーん」 グラウスは医療室の扉をノックした。 ガラガラと扉が音を立てて開いた。 「はい?どうかしたの?」 中から白衣を着た女性が出て来た。 「エイデル先生。この子の容態を診てほしいんですが……」 リリィはグラウスの背負った少年を指差した。 「この子は?」 エイデルはそう尋ねた。 「えーと、俺達が北の森に魔物狩りに行ったときに会った奴です。 でも、急に襲いかかってきて、戦闘になって、その後急に倒れて……」 ディックはこの少年と会った時のことを話した。 「あと、恐らくこの少年は、死を呼ぶ烏と言われている人だと思います。 噂されていることほぼ合っているので……」 ルーシャはディックの言葉に付け足した。 「この子が死を呼ぶ烏…… 見た目はあなた達とあんまり変わらないわね…… この子が倒れた時の事を詳しく教えてくれないかしら?」 エイデルは顔をしかめながらそう尋ねた。 「はい。えーと確か グラウスが水の錬成術を使ったのですが、この子が自分の周りに黒い結界の様な物を張って防いだんです。 だけどその結界の様な物が消えた途端にその場に倒れこんで……」 リリィがその時起こった出来事を思い出しながら説明した。
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