記憶

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「黒い結界…… 他に何か変わったことはあった?」 エイデルはより一層顔をしかめた。 「あ、なんか武器を出現させたり、消したりしてました」 ディックは不思議そうな顔で答えた。 「……そう。……じゃあやっぱりそうね」 エイデルは何かに納得したようにそう言った。 「倒れた理由がわかったんですか?」 ルーシャは目を丸くした。 「えぇ、わかったわ。 恐らく魔力が切れて倒れたんだわ」 エイデルはスッキリしたという表情をした。 「「「「えェェェッ!?魔力切れ!?」」」」 4人は同じ言葉を叫んだ。 「えぇ、そうよ。 その黒い結界っていうのはきっと闇属性の魔術だわ。そして、武器を出現させたり、消したりっていうのは、その武器自体が魔力で構成されているのよ。 だから魔力を具現化すれば出現させれるし、魔力を還元すれば消したり出来るってカラクリよ」 「なるほど…… それならつじつまが合わないわけでも…… でもまさかこいつが魔術を使えたなんて……」 エイデルの説明にディックは驚きながらも納得した。 「ただの魔力切れなら私の魔力を注げばすぐ起きるわ」 エイデルは少年に手を当て、魔力を注ぎ始めた。 エイデルの手から光が溢れ出している。 「キレイ……」 ルーシャはその光に目を奪われている。 「この子…… 洗脳の魔術がかけられている…… 誰かにダークサイドを狩るように仕向けられたのね……」 エイデルは悲しげな顔をした。 「私があなたを救ってあげるから…… ……だから安心して?」 光が強くなっていく。 そして次第に光は消えていった。 「うっ……」 少年は目を覚ました。 「おはよう。目覚めはどう?」 エイデルは少年に微笑んだ。 しかし、返事はない。 「そう……それならもう少し寝てなさい?」 エイデルは優しく語りかけた 「……スゥ…………」 しばらくして、少年の寝息が聞こえてきた。
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