記憶

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「失礼しまーす」 「おぅ、来たか」 ディック達が医療室に入ると、既にグラウスとリリィが中に居た。 そして、ベッドに腰をかける少年の姿が…… 「目が覚めたんですね」 ルーシャは嬉しそうに先生に言った。 「えぇ。 でも困ったことがあるの……」 「困ったこと?」 エイデルの言葉にディックは疑問を浮かべた。 「この子、記憶が無いみたいなんだ……」 「「えぇっ!?」」 リリィの答えに2人は驚きを隠せなかった。 「記憶が無いって…… どうするんだよ……」 ディックが顔を引きつらせた。 「……ひょっとしたら違うかもしれないわね。」 「? 違うって何がですか?」 エイデルの呟きにルーシャが反応する。 「この子には洗脳の魔術がかけられていて自我が封じられていた。 だからひょっとすると、記憶も魔術によって封じられている可能性があるの」 エイデルは顎に手を当てそう言った。 「可能性って事は、確証は無いんですか?」 エイデルの言葉に疑問を持ったリリィが尋ねる。 「えぇ…… でも今からそれを調べてみるわ」 エイデルはそう言って、少年の頭に両手を置いた。
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