記憶

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「でも、なんでそんな事を……」 グラウスは顔をしかめた。 「分からないわ…… 洗脳の事といい、記憶の事といい、謎が多過ぎる…… 一体誰が、何の目的でこんな事を……」 辺りに不穏な空気が漂う。 そんな中ディックが口を開いた。 「なぁ……とりあえずこいつの名前決めないか?」 全員がディックを見つめる。 「な、なんだよ…… 間違ったこと言ったか?俺……」 ディックは慌ててみんなに言う。 「いや……お前の言う通りだ。 名前が無いのは可哀想だしな」 グラウスはそう言って少年を見た。 「なんてつけようか……」 リリィは考え込んでいる。 「あの…『クロウ』っていうのはどうですか?」 しばらくして、ルーシャが口を開いた。 「クロウ……死を呼ぶ烏の烏からか…… いいんじゃないのか?俺はピッタリだと思うぞ」 グラウスはルーシャに笑いかけた。 「私は賛成!」 リリィがルーシャを見る。 「俺もそれでいいと思う」 ディックもルーシャの考えた名前に賛成する。 「じゃあ君の名前は今日から『クロウ』だ!」 エイデルが少年を指差して言った。
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