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柳がベンチに戻り守備につくまえに自分が打ち取られた配球を監督に報告してから守備に向かう。
「やはりスライダーか…」
柳の報告をうけた監督が独り言のようにぽつりと呟くと、スコアをつけている記録係に声をかける。
「どうだ?何か見えてきたか?」
「はい、この1巡では東條を除いて内角に速い球、外角には遅い球というセオリー通りの配球ですね…」
「まぁ東條は別にして…ある程度の読みは立ちそうだな」
「はい、上位の話では直球は150km前後でノビもあり、東條も高速スライダーは以前と遜色ないとのことでしたが…カーブやシュート、そしてあの力を抜いた直球なら攻略は難しくはないかと…」
今までの配球から巽のリードへの目星を立てて評価をする。
「やはり高速スライダーか…江嶋と柳もやられたようだ…キレも戻ったか…」
「そうですね…残念ながら東條でもそうは打てないでしょう…でもあの程度の捕手なら他の球を狙い打ちできます」
「不幸中の幸いか…カーブとやや遅い直球にしぼるか…」
こうして全選手が守備につくまでの間に次の回以降の攻撃の組み立てが決まり、監督も守備の指示の方に意識を向ける。
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