たった一試合のエース

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5回の裏、この回の峰ヶ丘高校の攻撃は7番の巽からはじまる。 巽がゆっくりと打席に入る。 「(もう中盤…せめて後1点…)」 現在の点差は3点。この回で試合が折り返すことを考えると、ここで後1点を取るのと取らないのでは攻撃の幅もそうではあるが精神的にも大きな開きがあった。 しかし、城の好リードとバックのプレーにより息を吹き返した西京のエース香月もそのことを十分に理解して、巽に付け入る隙を与えない。 自身最速となる145kmの直球と2種類シンカーを左右に投げ分けて巽をショートゴロに打ち取ると、続く8番結城、9番辻利もじっくりとボール球を中心とした配球で内野ゴロに打ち取ってベンチに帰る。
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