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2塁ベース上に立つ東條に遊撃手の甲斐が近寄り話し掛ける。
甲「サードを狙う気はなかったのか?」
東「ん?あぁ…」
唐突に話し掛けられた東條は戸惑いながらも言葉を続ける。
東「去年の東神戦を見てたからな…椎名の足で刺されるなら、俺じゃあ無理だ。打球処理も完璧だったしな…」
昨年の夏の東神戦で椎名を刺した距離…東條自身も50mを6秒フラットで走る足があるが、それでも椎名には遠く及ばない。それに加え東條の打球が速かったこともあり陸が捕球した時の東條の位置は椎名の時のそれよりも手前であった。
甲「いい判断だ…」
東「そりゃどうも…それにうちには城がいる」
甲斐の言葉に素直に反応しながら、続ける言葉には5番の城に対する絶対の信頼があった。
東「城、久住……そして甲斐…間違いなく最高の打者だ…」
ぽつりと甲斐に聞こえない程度の声で呟いた言葉には甲斐 詩音…その名が含まれていた。
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