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城の決断…それは甲斐に対する警戒の顕れであった。
「直球は打たれる」
そんな意識が城の頭の中に顕著に浮かんで離れなかった。しかし…そのサインに森はゆっくりと、だが不満をあらわにして首を振った。もう一度、森が変化球を投げるようにサインを出す。それでも、森の反応は変わることが無かった。
森「(なんだよ…城さん、俺の直球が打たれるってのかよっ!)」
一度プレートを外して荒々しく足場を整える。
城「(やはりダメか…)」
結局、城が折れて直球のサインを出す。気持ちのこもらない球を投げられるよりも、好きな球を投げさせた方がマシ…そう判断する。
森「(オッケー…やっぱ城さんわかってる)」
森は気分を良くしてゆっくりと足を上げると弓をひくようなフォームから腕を振るう。
内角低めへの直球に甲斐のバットは動かない。
ズバンッ!
「ストライク」
続く2球目、真ん中高めへの直球にも甲斐のバットは動かない。
ズバンッ!
「ストライク」
簡単に2ストライクと追い込まれる。
森「(ふんっ手も出ないじゃないか)」
城「(手が出ないのか?…いや…)」
スイングすらしない甲斐を嘲るように笑う森と不気味さが消えない城…しかし、城に選択肢はない…直球のサインを出す。
弓を引く独特のフォームからMAX158kmを誇る直球が繰り出される。
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