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森の投じた球は真ん中低めの直球。唸りを上げるような速球に甲斐のバットが動く。
甲「(これだっ!)」
キィィィィィィンッ!
耳に響く音を残してボールの上からバットを被せるようにスピンをかけた打球がセンターに舞い上がる。
西京学園の守備陣の誰もが打球を追うことはなかった。
ドンッ!
センター方向に舞い上がった打球は鈍い音を立ててセンターバックスクリーンにぶつかり…跳ね返った打球がセンターに落ちてきて転がる。
ワァァァァァーッ!
一瞬、静寂に包まれたスタンドからは一気に歓声と悲鳴が入り交じった声が響く。
8回の裏、1死…甲斐のバットから生まれた起死回生の同点本塁打にスタンドが沸く中、甲斐は一人静かにダイヤモンドを一周してホームに帰る。
5ー5
試合が振り出しに戻る。
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