第一話

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  「仁美ぃ」 「な、なに?」 じっと見つめていると、次第に仁美が慌てだした。 「帰り、アイスね」 「え~?ごめんって!許して、百合様ぁ」 顔の前で両手を合わせて、上目遣いであたしを見る仁美。 …うん、これはモテるよ。 ただ残念ながらあたしは女。 性格は女っぽくないけど…… 「だーめ!帰り楽しみにしとくね、仁美♪」 「え~……あっ」 仁美の視線と声につられて、あたしも視線を前に移すと、担任がすでに教室に入ってきていた。 あたしは椅子に座り直して、前を向いた。 担任の教師は、簡単に出席をとると、簡単な連絡事項を話し始めた。 窓際の席のあたしは、教室の前から聞こえるだみ声を聞き流して、ふわふわと散っていく桜の花びらを、目で追っていた。  
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