第一話

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  「さて!」 急に張り上げられただみ声は、あたしの耳をすり抜けずに留まった。 急に現実に引き戻された感じ…。 「もう知ってるかもしれんが、今日転校生が来ている」 そんなあたしを尻目に、どんどんと話を進めていく担任。 ちょっと声のトーン、落とせっつーの。 「じゃあ入ってもらうか」 とは言うものの、やはり転校生には興味がある。 そこまで冷めた人間ではない。 視線を扉に移すと、それは勢いよく開けられた。 ……無理。 転校生を見るやいなや、あたしのテンションは著しく下がった。 自分でも顔が強張っていくのが分かった。 そして、自然とため息がこぼれた。  
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