軍野さんの希望

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有明からの報告メールは夜遅くに瑞穂の元に届いた。 他の女の子からすがられる有明を見るのは切なかったが、苦しそうにしていたあのお婆さんのことは心配だったから、喉を詰まらせただけだと聞いた時には素直にホッとした。 瑞穂はその夜加津佐や国見より一足先に寝ると、朝までぐっすりだった。 翌日、瑞穂が加津佐や国見と一緒に午後にかけて帰宅している頃、有明は穀保と共にひだまりホームへ赴いていた。 軍野さんが有明に改めてお礼をしたいと話したからだ。 はじめは「気にしないでいいから」と断った有明だったが、お礼以外にもぜひ折り入って話がしたいと言うので、一緒に出張に来ていた先生達を先に帰し、穀保と2人でホームに向かった。 「有明先生、昨日はありがとう」 軍野さんはきちんとした身なりで部屋のソファーに腰かけていた。 軍野さんの部屋は個室だったのだが、2人掛けのソファーが2脚とテーブル、本棚や机などがある。部屋の奥のカーテンが仕切られた先にベッドがあることを除けば、そこは充分社長室とも言えるような室内だった。 有明は一瞬目を丸くしたが、軍野さんや穀保に促されるままソファーに腰をかけた。 軍野さんのそばには職員の寺内の姿もある。ちょうど昼食を下げにきたところだったようで、てきぱきと皿を片付けていた。
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