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布津は子供のように泣く瑞穂をとりあえず自分の家へ連れて行こうとした。
が、泣き顔の瑞穂を連れて行けば家族に何を言われるかわかったものではない。
布津はハァと一つ溜息をつくと、近くにあったベンチに瑞穂を連れて行き座らせてやった。
「…これ、食わねぇ?持ってても溶けちまうし」
「ぐすっ……あ、布津買物の途中だったんだ。ごめん……」
アイスの入った袋を差し出す布津を見て、瑞穂は少しだけ落ち着きを取り戻し始めた。
「いーよ。また買うし。塩バニラ味と醤油プリン味どっちがいい?」
「えー?なんでその二択なの」
「しょうがねぇだろ頼まれたのがコレなんだから!」
「んーじゃあ醤油プリン」
布津から醤油プリン味のカップアイスを受け取ると、瑞穂は蓋をとり恐る恐るスプーンですくって口に運んでみた。
口の中にまろやかなみたらし団子のような甘じょっぱい味が広がる。
「あ、美味しい」
「こっちも食うか?」
布津が塩バニラ味のカップアイスを瑞穂に渡す。
塩バニラ味も塩のしょっぱさがバニラの甘さを際立たせていて美味しい。
「どっちも美味しいー!今度自分でも買ってみよー」
「そうしろそうしろ」
アイスを食べているうちに瑞穂には笑顔が戻っていた。
布津がそんな瑞穂を見て一安心したように微笑む。
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