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「何を言うか。 俺は仕事は家庭に持ち込まない主義だ」
「それで母さんを野放しにしてりゃ世話ねえや。 知らねえぞ、『仕事と私、どっちが大事なの? 貴方なんて仕事と再婚すればいいのよ!』なんて離婚切り出されてもよ」
「ぐっ!!?」
おーおー、痛いとこ突かれてやがんの。
「む、むう……やっぱり、たまには早く帰った方がいいか……」
「そう言うこった。 じゃ、俺は飯食ってくるわ」
いい加減腹が減った俺は、父さんに背中を向けたまま手を振るとそのまま台所へ向かう。
さーて、今日の朝飯はっと……。
豆腐と揚げの味噌汁と塩サバ、それに牛乳とスクランブルエッグか。
相変わらず献立の組立がバラバラだな。
塩サバなんて、昨日の晩飯に出た切り身と同じやつだし。
ま、作って貰ってる身で贅沢も言えねえか。
「あ、ユズルじゃない。 もう少し寝てるんじゃなかったの?」
「部屋の掃除やるから、飯食ってから寝ろとよ。 てか、何でお前が家で飯食ってんだよ妃芽」
そう、台所のテーブルには既に帰った筈の妃芽が席に着いていた。
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