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「仕方ないじゃない、朝練の後はお腹空くのよ。 それに、私は家に帰ってから食べるつもりだったんだけど……」
「母さんに引き止められた、と」
「うん」
なるほど、そりゃ納得。
「まあいいや、さっさと飯食って買い物にでも行くか」
「え、寝るんじゃなかったの?」
「母さんの掃除は長いんだよ。 知ってるだろ、母さんの几帳面っぷりを」
正直、根がいい加減な俺には真似出来ねえよ、フローリングを洗剤の付いた爪楊枝で隙間無くなぞるような掃除なんて。
「……だったら、私の買い物に付き合いなさいよ。 どうせ柚葉さんの掃除が終わるまで戻れないんでしょ?」
「買い物? なんか買うもんでもあんのか?」
「あんたね……明日から学校でしょうが。 新学期の準備は済んだの?」
「生憎だけどよ、俺はそういうのはさっさと終わらせねえと気が済まねえんでな。 初日に終わらせといた」
「そ、それはそれで気が早いわね……」
「別に驚く程の事でもねえだろ」
実際、あんな母親と四六時中一緒にいたら誰でもこうなると思うんだけどよ。
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