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「まあまあ、細かい事言いっこ無しっす。 あ、ユズルさんもポカリどうっすか?」
「細かくねえっての! 大体、年頃の男子の前で素っ裸でうろつく女子大生が何処の世界に居るんだよおい!」
「ユズルさんは固いっすねー。 ぽちはもう冴島家の一員みたいなもんっすから、ユズルさんも気にしないで欲しいっすよ」
う……そう切り返されると強く出づらいな……。
「と、とにかく何か着てこいっての!」
「ん、りょーかいっす♪」
俺の怒鳴り声におどけた仕種で敬礼を返すと、「ぽち」は鼻歌混じりで二階の自室へ消えていった。
「ったく、あいつはいつまで経っても変わらねえな」
「仕方ないだろ、それがあいつの取り柄みたいな物だからな」
背後からの返答。
振り向くと、そこには俺の父・冴島 出(さえじま いずる)が立っていた。
「んだよ父さん、今帰りか? スーツがグシャグシャじゃねえか」
「先方との商談用の書類に不備が見つかってな。 計2000枚全てチェックしてたらいつの間にか日が昇ってた」
「持ち帰るって発想はねえのかよ」
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