想うだけでは。

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トントン 緊張しながらノックをすれば すぐ返事が返ってきた。 「入って」 「…はい。失礼します」 扉を開けて中に入る。 この前みたいに暗くはなく、 ちゃんと電気がついていた。 「早かったな」 先生はデスクの方を向いて 椅子に座っていた。 「聞いてないです、準備室なんて」 久しぶりに2人で会話した気が。 少し、いやかなり緊張する。 「悪い。2人きりの方が良いかと」 先生の口から出た 2人きりという言葉に反応し 心臓がうるさいくらいに鳴ってる。 「ぁの…」 かすれた声で呼ぶ。 キィ…と音をたてて椅子ごと 先生がこっちを向いて。 目が合う。 今だって、言えって。 自分で自分を催促するも なかなか言葉を発せず。 でも、今しかないから。
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