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そういうわけでMEDA’ROTを持たないタマリは他人のロボトルを観戦する以外どうしようもなく、
「おいロボトルしよーぜ。あ、キヨザケはMEDA’ROT持ってないんだっけダッセーなお前」
なんて言われるのにもいい加減辛抱たまらん状態なので、大人しく家に帰ることにしたわけだ。
「――…っ戦闘不能!ブレイブファイヤの勝利!!」
不意に、青空の下に響いたのは勝利の歓声。
そして無数の拍手の音だった。
「あ、ショーガ」
生徒の歓声を受けながら、人垣をかき分け現れ出たのは真っ赤なボディが印象的な消防車型MEDA’ROT――ブレイブファイヤと、そのマスターである少年――クチナシ ショーガだった。
「おう、タマリ。もう帰るのか?」
「うん。ロボトル大会のせいでバドミントンできないし」
「あー、体育館、ロボトルのたまり場になってて中に入れないもんな」
「そ、ホントにいー迷惑だよ。せめてクラブ活動の日くらいロボトル禁止にしてほしかったのに」
「バーカ、何言ってんだよ!代表チーム決めまでもう一週間きったんだぜ?
俺たちに休んでるヒマなんてないっての。
他の奴らに代表枠を取られないためにも、どんどんロボトルして勝ち数上げていかなきゃな!」
「バカとか言うやつがバカだし。このロボトルバカ」
「お前だってバカっつってんじゃんバカ。
悔しかったらタマリもロボトルで俺に勝ってみろってんだ」
「別に悔しくないし。
…っていうかさぁ、ショーガだけが強いわけじゃないじゃん。ファイブががんばってくれるから勝てたんでしょー?」
その言葉に今まで黙っていたブレイブファイヤ――ファイブはウィィン、と機械独特の音を立ててタマリの顔を見つめてきた。
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