2×××年地球

2/9
前へ
/9ページ
次へ
「昔は硝子が無かったってホントかな? 」 6本の指を開いて晶は硝子の壁を触った。 「無かったっていってたじゃない 」 グランは答えた。 「出たら本当に死んじゃうのかな? 」 大きな太陽を見上げて晶は言う。 「とても出られた暑さじゃないよ 」 グランはまるで出た事があるかの様に3本の腕を大袈裟に振り回した。 「シモンのお爺ちゃんは出たじゃないか 」 「あれは…… 追放だよ 」 「死刑だって言うの? そんなの昔話にしか出てこないし、禁止じゃないか 」 晶は振り向いて眉をひそめた。 「生きるか死ぬかは身体の持ってる抗体次第だよ 」 二人は硝子の外を見た。 大きな太陽。 赤い大地。 「またこんな町外れに二人で来てるのか 」 ンパは黒い顔に白い歯を見せて笑って近付いて来た。 「そろそろ雨が降る時間だぜ 」 降雨の機械が移動する音がする。 「俺んちが一番近いから終わりまで待てば良いよ 」 ンパは二人を連れて家に帰った。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加