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「昔は硝子が無かったってホントかな? 」
6本の指を開いて晶は硝子の壁を触った。
「無かったっていってたじゃない 」
グランは答えた。
「出たら本当に死んじゃうのかな? 」
大きな太陽を見上げて晶は言う。
「とても出られた暑さじゃないよ 」
グランはまるで出た事があるかの様に3本の腕を大袈裟に振り回した。
「シモンのお爺ちゃんは出たじゃないか 」
「あれは…… 追放だよ 」
「死刑だって言うの? そんなの昔話にしか出てこないし、禁止じゃないか 」
晶は振り向いて眉をひそめた。
「生きるか死ぬかは身体の持ってる抗体次第だよ 」
二人は硝子の外を見た。
大きな太陽。
赤い大地。
「またこんな町外れに二人で来てるのか 」
ンパは黒い顔に白い歯を見せて笑って近付いて来た。
「そろそろ雨が降る時間だぜ 」
降雨の機械が移動する音がする。
「俺んちが一番近いから終わりまで待てば良いよ 」
ンパは二人を連れて家に帰った。
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