子守唄

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 日の光が燦々と輝く真夏のことだった。       △  ▼  △  自宅から歩いて駅に通い、電車に乗り二、三十分揺られると町の中心に入る。さらに揺られること数分、目的地である自分の勤めている会社が見えてきた。  名をかざせば直に分かってくれる程の認知度のある会社であり、当然のように大手企業でもある。  就職するにはある程度の学歴は必須であり、自身もそこそこの学歴はあると自負している。  自分には妻子もいるので、多くを稼がなければいけない。そのためには、上司を持ち上げ、他を蹴落す覚悟が必要である。  そんなことを考えていると、どうやら駅に着いたらしい。構内ではアナウンスと言う名の騒音が嫌というほど鳴り響いている。  電車の中では感じてはいなかった、肌にべっとりとはりついてくるような蒸暑さが電車を降りると共に纏わり付いてくる。  そんな中でそっと、腕時計をみると出社時間にはまだ余裕があったので、駐輪場に置いてある自転車を使わずに歩いていくことを決めた。
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