六年

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 動き回る植物達、ありえない大きさの昆虫、思わず目を疑ってしまいそうになるほどの光沢を待った泉、架空の存在だったはずの天馬が空を駆け、二本足で大地を闊歩する爬虫類。  こんな光景を見てしまったら、此処が私のいた世界と同じものだとは到底思うことができなかった。  動植物を見てしまってから約二年程経った時だっただろうか。追い討ちをかけるように信じられないようなことを目にする。  森の動植物が偶に村を襲いに来ることがあった。いつもならば槍や斧で威嚇し追い払うのだがこのときは違った。 二足歩行をする爬虫類が村に迷い込んできたのだ。  槍や斧で威嚇しても逃げていかず、ほっとく訳にもいかないので殺さなければならない。  槍や斧では殺すことが出来ないらしく、一人の青年が村長らしき人物を呼びにいき、しばらくすると、青年がヨボヨボの爺さんを連れて戻ってきた。  正直、始めはあの爺さんに何ができるのか全く期待していなかった。    
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