既成事実

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        ††† 私はアマゾンから来た。 お兄ちゃんの家族と養子縁組を組んでもらって……。 でも、お兄ちゃんとは別居で…。 全然養子になった意味がなかった。 兄としてじゃなくて、男として好きなのに…… ねぇ、お兄ちゃんだから…ひと夏の思い出…ちょうだい?         ††† 一人ぼっちの時代は、ずっと暗いアマゾンの倉庫の中だった。 ずっと、一人ぼっちだった。 あの頃の…夢を見た。 あたしは寝ている間、涙を流していたようだ。 目頭が熱い。 そして湿った頬。 「…ッう……」 だって…嫌だよ…。 お兄ちゃんが教えてくれて、初めて知ったのに……。 温もりも、安らぎも。 失いたくないよ…。 もう…一人には…なりたくないよ…。         ††† 神様…ありがとう。 私、人になれた。 お兄ちゃん…抱いてくれてありがとう。 みんなも…歌わせてくれてありがとう。 もう大丈夫。 だから…もう、昨日にはさよならしなきゃ。
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