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「まあ、まあまあ、ねぇ見て、都が見えてきたわ…!
やっぱり吉野の里とは違うわねぇ…ね?真珠、珊瑚」
「…姫様…嬉しいのは解りましたから、少し落ち着いて下さいまし」
「そうですよー、あんまりはしゃぎ過ぎると、後で疲れちゃいますよ?」
「えぇ~、だってぇ…憧れだったんだものー。
ああ、でもやっぱり素敵!思い描いていた通りだわ」
───折しも季節は春。
冬から抜け出したばかりで多少風は冷たいが、それでも真冬の厳しい寒さに比べれば、格段に柔らかく暖かい陽差しが降り注ぐ時期。
遙か遠く見える山々は、深い緑と新緑の萌黄に混じって山桜がその山肌に薄紅や白の霞を掛けて咲き乱れ、透明で蒼い空の色と相まってそれはそれは見事な彩りを見せていた。
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