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故郷の山々の花景色に比べればまだ見劣りはするものの、それでも素晴らしく綺麗な事には変わりが無い。
都の玄関口である羅生門迄はまだ少し道程が有るが、それでも背の高い塔の先端や、その下の屋根の甍(いらか)が見える程には近付いて来ている。
漸(ようや)く辿り着いた華やかな京の都を目前に、壼装束(つぼしょうぞく)姿の姫と姫付きの女房二人は周りを見渡しては揃って感嘆の息を吐いた。
尤も、一番興奮して見るからにはしゃいでいるのは姫一人だけではあったが、真珠と珊瑚と呼ばれた女房達も感慨深い思いは拭えない。
わざわざ古(いにしえ)の都の方角、吉野の里から出て来たのだ。これ位の感動が無くば、苦労も報われない。
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