**一之巻**

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………だがしかし。そんな彼女に返ってきた答えは。 「鳥辺野(とりべの)です」 「……………はい?」 ……今何て言ったのかしら。 とりべの、なんて聞こえた気がするけど。 まさかね。きっと幻聴に違いないわ、うん、絶対幻聴よ!空耳よ! 真珠の言葉に一瞬笑顔が固まり、じわりと冷汗がこめかみに浮き出るが、気のせいだろうと思い直す。 だって彼女の顔には穏やかな笑みが見えるし。 あんな優しげな顔で居るんだもの、絶対有り得ない。 勇気を振り絞ってもう一度問うてみる。 .
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