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「センセイばいばい」
俺はセンセイに手を振りながら部屋を出た。病院は慣れてしまえば勝手が分かる。
俺は慣れた道を通りながら病院を出て隣に建っている図書館に足を向ける。
毎週センセイとの話しが終わったら図書館に行くのが定番のコース。
髪を染めてからはちょっと目立つらしく職員の人は俺をよく見てくる。ひなたの言うとおり不良に見えてるのかもしれない。
俺はふらふらと本を選びながら数冊手に取っていく。
だから気づかなかったんだ。
小さな君に。
「わっ」
「あっ」
ドサササッ
いっぱい持ってた本は転がってぶつかった反響で俺も尻餅をついた。
目の前の女の子は尻餅をつきながら慌ててメガネをくいっと上げた。散らばった本と俺を見て青ざめた。
「すっすみません!!私前見てなくって…」
あわあわと散らばった本をかき集めながら頭を下げた彼女の三つ編みが揺れた。
これはもしかして不良と思われてる?
「あ、俺も前見てなかったし…ごめんね?」
大丈夫かなと思って彼女に触れようとしたら振り払われた。彼女は耳たぶを赤くして、なんだか泣きそうな顔をしてた。
それが何だか分からないけど可愛いとも違って何て言う感情か分からないけどこみ上げてきた。
彼女は呆然とする俺にまた頭を下げて逃げるように走っていった。
そんなに俺怖いかな…軽くショックだ。うん。かなりショックかも。
俺は散らばった本をかき集めようとして手を止めた。呆然としている間に彼女が集めてくれたみたいだ。
集めてくれた本を見て気付く。一冊間違えて彼女が持っていったみたいだ。
どうしようかな…別に凄く借りたいとか今日じゃないととか希望は無いけど…ちらりと床に落ちている生徒手帳が目に入る。
偶然にもそれは俺が通っている高校。そして俺は今私服なのに生徒手帳なんか持ち歩く事はしないから彼女の物。
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