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「なあ、堀江ってさ、昨日の田中のノートとった?」
まだ少し肌寒い5月の半ば
正午12時37分。
大学内の食堂で、
日替りA定食を食べている俺の前に、佐竹京介が現れた。
「ノ、ノート..ですか?」
驚いて喉に詰まった米を水で押し流しながら、目の前にいる佐竹くんに問う。
・・・あ、俺、今声裏返った。
「そうそう!俺さ、昨日サボっちゃってノートとってねんだわ。田中に怒られてさぁ。レポート出さないと単位くれないとか言いだして。」
頼む!と言いながら、
俺に頭を下げる佐竹くん。
大学の人気者が、
俺なんかに頭を下げている。
食堂にいる人たちが俺らのほうをチラチラ見てくる。
ああ・・っ!
いけない!佐竹くんに頭なんか下げさけるだなんて・・・ッ
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