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零が校舎に戻り、教室に入ると皆零の姿に驚いた。
血塗れだったからである。
口元にも血を拭いた跡があり、若干血がまだ口元についていた。
優姫はそんな零を見て、近寄り心配そうな顔をした。
「零…、大丈夫?」
「ああ。」
「なんか、悩み事あったら言ってね」
「………」
優姫はポケットからハンカチを取り出すと零の口元に付着しているまだかたまっていない血を拭いた。
「…あ、今日買い物に付き合ってよ。
少し買いたいものがあるんだ」
「…若葉と行けばいいだろ。」
「頼ちゃんは今日は委員会の仕事で駄目って言われたから。
ね、お願い」
微笑を浮かべて、お願いする優姫に零が断れるはずなかった。
「…わかった」
すると、優姫は零の首筋に顔をうずめた。
「ゆ、優姫!?」
「なんか、零から誰かの匂いがする。
誰だったかな…」
ー純血の血くさい
先ほど氷儷に言われたことが頭に響いた。
純血種の血を飲んだのは玖蘭枢の血だけ。
血を飲んだら匂いまでうつるのだろうか。
玖蘭枢の匂いがうつるなんてこれ以上にない苦痛だった。
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