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「あー、思い出したっ!」
ニコニコと笑顔で言う優姫に、零は確信した。
「枢様と同じ匂いだ。
…でも、何故枢様と同じ匂い…?」
「香水が一緒なだけじゃねーの」
「…そうかもね」
零の答えに優姫は納得していなかったような表情をしながらチャイムが鳴る前に席に戻った。
授業は生物だったが、もちろん優姫と零は寝た。
優姫曰く、授業は睡眠時間らしい。
寝た二人に課題が大量にだされるのはそう遠くもない未来。
授業が全て終わり、生物教師に課題を出されたあと二人は街へ出かけた。
「で、何買うんだ?
さっさと選べよ。
夜間部と普通科の入れ替え時間までに帰らなくちゃいけないんだから」
「わかってるよ!
…よく当たる占い師がいるっていうから占ってもらおうと思って」
優姫はポケットから地図が書かれた小さな紙を取り出すとその通りに進んでいく。
すると人気のない、裏路地に占い師はいた。
紫の服に、口から下は見えないようにして布で隠している。
占い師は二人の姿を確認すると微かな笑みを浮かべた。
それに二人は気づかなかった。
「おや、お客さん。今日は何を見ましょうか」
「あ、あの…貴方がよく占いを当てると聞いて…」
「…わかりました。では、あなたたちの今後を見ましょう。じゃあ、彼女はこの水晶に手をのせて」
優姫は言われるがまま机に置いている水晶に手を置くと、占い師は真剣な顔つきになった。
「…牙、赤…、弾丸により貫かれた身体、赤い目…。たくさんの人、眉目秀麗の男…」
「っ…!」
「…貴女の人生、これから紆余曲折を経て落ち着くことでしょう。たくさんの牙や赤い目、そして一つの弾丸が貴女を狙っています。…そして、隣にいる男が見目麗しい男性に変わります。貴女なら乗り越えられる。頑張ってください!」
「は、はい」
見目麗しい男性。
それを聞いただけでわかった。玖蘭枢のことだと。弾丸とは銃。ハンターが所持する銃だと。
優姫は将来ハンターに殺される。そう確信したときだった。
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