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理事長のところに行くと、理事長、黒主灰閻は居間でまったりしていた。
「あ、おかえり。ゆっきー、錐生くん」
「た、ただいま」
二人の微妙な変化に気付いた灰閻は首を傾げ、二人に自分の前に座るように促した。
そして先程から食べている洋菓子を二人に渡した。
「何かあった?」
零が優姫を見ると、優姫は唇を噛み締めて何かに耐えるように俯いていた。
零は仕方ないな、とため息をつくと灰閻に事の次第を話し出した。
「皆さん、初めまして。豊穣院氷儷(ホウジョウイン ツララ)です。学年は二年。これからよろしくお願いいたします」
氷儷は深々と一礼すると、微笑を浮かべ、教室内を見回した。
「豊穣院って…、あの、純血種の…」
「氷儷様が何故…」
教室内は氷儷の話題でいっぱいになる。
氷儷はどっちかというと歓迎されていなかった。何故、どうして、とそんな言葉や視線が氷儷に突き刺さる。
「よろしくね氷儷さん。僕は一条。寮の副寮長やってるんだっ」
人間くさい一条に話しかけられ驚いた表情をしていたが、一条が歩みよったことにより氷儷に向けられていた視線や言葉も次第に歓迎するものとなった。
「はい。なら私はあなたを一条とお呼びしますね。」
一条が了承の言葉を述べると何か思い付いたように声をあげた。
「そうだっ!今から氷儷さんの歓迎会しない?中庭で。」
一条の提案に藍堂や架院はこくりと頷き、それに続いて全員が賛成した。
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