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「ちょっと確かめたいことがありまして」
「確かめたいこと?」
「はい、優姫と錐生くんのことなんですけど」
立ったままの枢に灰閻は先ほど優姫が座っていた椅子に座るように促し、優姫も座るように言い、枢は仕方なく座った。
優姫は台所に向かい、枢に出すコーヒーを淹れにいった。
「優姫と、零のこと?」
「はい。今日、二人に違和感がありまして。」
「や、やだなあ。普通ですよ枢センパイ。私や零はいつもと一緒です」
零は一生懸命優姫が枢に向ける笑顔を真似し、笑った。その笑顔が枢に一層疑惑の念を抱かせるということを気づくはずなかった。
コーヒーを淹れにいっていた優姫が話してる三人を邪魔しないようにそっと枢の前に置いた。枢はそれにありがとう、と礼を言うと再び会話に戻った。
「気付かないの?優姫。今日、君が僕を見る目、憎らしいものを見る目だということを。もちろん僕に限らず、夜間部の皆もだけど」
枢はコーヒーを一口飲むと、首を傾げた。
「どうしたの?枢くん」
「…これ淹れたの錐生くんだよね」
「はい、それが何か?」
優姫は特に疑問をもたず、何かコーヒーに不備があったのかな、等としか思わなかった。
「どうして君がこの味を知っている?この味は優姫にしか教えてないんだけど」
「…っ」
やってしまった。そんな感情が優姫の中に現れた。零も限界だと感じたのか、ため息をつき仕方ないか、と呟いた。
「…だから言っただろうが。ちゃんとバレないようにしろよって。」
「だ、だって仕方ないじゃん!」
二人の口論を若干驚いて見ていた枢は灰閻に視線を戻した。
「みてわかったと思うけど…こういうわけなんだ」
「詳しく説明していただけますか?」
枢はしっかり説明聞くまで帰らないという姿勢だったので二人はしばらく守護者業務に行けないな、と悟った。
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