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夜歩きしてた生徒も優姫(身体は零)の姿を見つけると急いで帰っていった。
陽の寮の見回りが終わった優姫は校舎に向かい零のところに行った。
「零!」
「優姫…終わったのか?」
「うん。…で、零は?」
「俺はしばらく見張りだから終わらないな」
「…あ、そっか。」
こないだの吸血事件があって以来、普通科の生徒も吸血鬼の存在を信じ始めた。幸い、怪我人は数人で済んだのだが。犯人は夜間部の数人の吸血鬼で、枢がお仕置きという名の処罰をしただけで済んだ。それがあったことから、夜間部の面々は錐生零を夜間部にいれたほうがいいという考えを持ち始めた。もちろんいれるのは嫌々だが。でも、枢は零に優姫を守ってもらわないといけないため夜間部にはいれないつもりである。
「…なんで吸血鬼って皆綺麗なんだろ。それに頭もいいし」
「…それが吸血鬼だ。」
「零も顔綺麗だよね。」
「はあ?」
顔が綺麗なんて初めて言われたので少しすっとんきょうな声が出てしまった。
「クラスの友達がね、"錐生はあの性格が直ればモテるのに。顔は綺麗なんだから"って言ってたよ」
「…で、性格を直せと?」
「いや、そういう意味じゃないけど。第一直したら直したで気持ち悪い」
「ま、それは…―」優姫は、校舎をみた。嫌な匂いが校舎から匂ってきている。鉄分を含んだ、吸血鬼がよく知る血、血臭だった。
「優姫?」
「…血のにおいがする。」
零は校舎を見て、鼻をひくつかせた。だが、におわない。ただ、木々のにおいと花たちのにおいがにおうだけだった。
「…におわねえけど…」
「え!?…勘違いかな…」
「…いや、もしかしたら俺の身体になったことで、俺が本来もってた吸血鬼の能力が優姫についたのかもしれない。…ま、予想だけど」
「……」
「優姫、お前はそこにいろ。少し見てくる。」
「えっ!?」
零が校舎に行くと行ったら自分も行こうと思っていたのだが、零に居ろと言われ、そんなことを言う零に絶対に言うこと聞いてやらないと心に決め零を睨んだ。
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