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「…どうかした?」
「…零、なにしてるの。そんな女の身体で」
前から冷たい、嫉妬の視線が突き刺さる。氷儷は優姫の中身が零であることを気付いていた。
「な、なにを言うんですか。中身が零なわけ…」
「におうのよ。」
氷儷の真剣な眼差しに零は視線がそらせなくなった。視線をそらしたら射殺されそうな、そんな感じを零は感じとっていた。
「…優姫ちゃん。そうなの?」
玖蘭枢にバレたら、夜間部全員にバレる。という方程式が零の頭の中でできあがっていた。零は少しため息をつくと、頭をかきむしった。
「…ああ。そうだよ。俺は黒主優姫じゃない。」
「なんで…」
「詳しいことは玖蘭枢に聞くんだな。」
自分の話を終わらせると、かすかににおってきた血臭について尋ねた。すると、その血臭はヴァンパイアが愛用する血愛の薔薇という香水だったのである。紛らわしいことするな、と怒鳴って帰りたかったが帰ろうと思い足を動かしたとき、氷儷に呼ばれ、氷儷の自室に向かった。氷儷が抜けたことにより、歓迎会をやる意味がないと判断した夜間部の面々はグラウンドに出てたものを片付けだした。
月の寮、豊穣院氷儷の自室。
氷儷はドアを閉めると零にバレないよう、鍵を閉めた。そして、香を焚きはじめた。
「用はなんだ。手短に終わらせろ」
零は氷儷のベッドに腰かけると、氷儷を睨んだ。
「本当は錐生零をそのまま欲しかったのだけれど、仕方ないわね。…零、私のモノとなれ」
口調が変わった氷儷に一瞬驚き、緋桜閑を思い出した。同じような口調だったため、思い出し 首が疼いた。
「…どういう意味だ。」
「私は、いや、わしのためにその身を捧げろ、と言っておるのだ。」
零は血薔薇の銃を取り出すと氷儷に銃口を向けた。
「断る。」
一発、威嚇射撃として腕をかすらせるように撃った。氷儷の腕からは血が流れる。
「なら、力ずくで貴様をてにいれる」
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