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「バケモノめ…っ」
「今のあなたに言えるのかしら?あなたも私と同族のくせに」
「…お前らと一緒にするな。バケモノ。」
「…その首、引き裂こうか」
氷儷は首をつかんでいる手に力をいれたとき、何かの存在に気づいた。
強い存在感。
零はドアの方を見た。ドアから凄まじい殺気が部屋へと流れてくる。怯えてしまうくらいの殺気が。
「…な、なによ…」
氷儷は冷や汗を小さく流し、零に視線を合わす。ドアの前にいる存在を無視するように。
「零、ぜろぉおおっ!!!」
「!?」
時間がないと悟ったのか、零に向けて氷の刃を飛ばしてきた。血薔薇の銃で撃つがそれでも氷儷は倒れない。至近距離だったので避けられるわけもなく、全て身体中に刺さった。血の流しすぎで気絶しそうになるのを、痛みを糧にして耐えていた。
「くそ…っ」
「あはははっ!!これで零は―」
一瞬のことだった。ドアが開いたと思ったら玖蘭枢が現れ、氷儷を影で攻撃し気絶させた。正に、3秒くらいの出来事だった。
「玖蘭…、枢…っ」
「…僕は優姫を守れって言ったはずだけど。なに、その姿」
「……」
零は言い返すことすらできなかった。枢の言っていることは間違ってはないからだ。
「まあいいや。…この血のにおいに反応して夜間部の皆が駆けつけて来ると思うから、さっさと帰ることをオススメするよ」
枢は窓を開けると、部屋にこもっていた血のにおいが外へ空気と入れ替えかのように外へ出ていった。そして零も窓から外へ出て、帰って行った。
「…さてと…」
枢は微笑を浮かべると、ベッドに座り何かを考えながら、気絶してる氷儷を見た。
「どうするかな…」
零は血まみれになりながら帰ってきた。優姫はすごく驚いたが、すぐ笑顔を浮かべお帰りと声をかけた。零はそれに驚いたが、血を落とすために優姫に手伝ってもらいながら風呂に向かった。零は目隠しをして風呂場にはいり、優姫が全てを洗った。もちろん零も同じようにして。
寮に戻ると色々不便なので、というか色々問題があるので理事長宅で寝泊まりすることにした。
「…今日は色々あったなあ…。私と零が入れ替わって…」
二人はもし、明日身体が戻ってたらの場合を考えそれぞれ身体の持ち主の部屋で寝ることにした。
「…寝よ。ま、全ては明日よね」
優姫は電気を消すとすぐ眠りについた。
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